海の見える町へ

海の見える町へ

2023年1月22日

旅の終わり

東大寺学園は不合格だった。

ここで、私たちの記憶は大きく途切れ、
断片的になってしまい、

このブログの原稿になっていた
メモや記録も途絶える。


カワタ先生に送った合否の結果の
メールの送信履歴が
唯一、記録として残っていた。


2020年1月22日(水) 21:57
ロジックス出版
カワタケイタ先生

いつもお世話になっております。

本日、東大寺学園の合格発表に行ってまいりました。
結果は、残念ですが、不合格でした。

入試当日には力を出し切れたようで、喜んでおり、
カワタ先生に教えていただいたことが生かせた
図形の問題(大問3)も、
大問1の立体も
カワタ先生の解説や、能開センターの解答速報などを見ると、
できていたようです。
図形以外はできなかったものも結構ありましたが、
その分を他の科目でカバーできていると思っていたので
(他の科目も見直しをしたところ、
そんなに低い点数ではなかったようなのですが…)
合格は十分有り得ると思っておりました。

奈良学園の不合格ではショックを受けていましたが、
今回は、事態が飲み込めていないといいますか、
なんでだろう…と二人ともポカンとしてしまっています。
解答が帰ってくるのを待ちたいと思います。

いい結果をご報告できずに申し訳ありません。

私自身、反省することだらけですが、
今はまだどちらかというと何故だろう…
という感情が強いという現状です。
ただ、入学試験は一点の重みが大きいですので、
そんなものなのかもしれませんね。
本人も気づいていない箇所で
大きなミスをしたのかもしれませんが…。

今は、ゆっくり休ませてやりたいと思います。

最後の最後に自分の力を出し切ることができ、
また、算数から逃げたくなってしまったスランプから脱することができ、
いい受験ができましたこと、
先生には本当に感謝しております。

また、改めてご挨拶にお伺いさせていただきたいと思っておりますが、
取り急ぎ、メールでのご報告をさせていただきました。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。


上記のメールから数日後の
送信履歴に残っていた記録には、
学校から返ってきた採点の結果を見て
追加合格もないことが判った旨が記されていた。
(国語が見たことのない低い点数だったようでした。解答用紙を見ることができないので原因は不明のまま終わってしまいましたが、1時間目のパニックのようなものがあったのかもしれません)

コロ助の番号が載っていない
合格発表の掲示板を見た後の
高の原駅へと向かう帰り途で
入学手続きの用紙を手に持ったうれしそうな
親子とたくさんすれ違った光景は今でも覚えてる。

その後、家には帰らずに
京都へ行き、
バスに乗って町をぐるぐるし、
東華菜館で春巻きを食べたことも
ところどころ覚えている。

追加合格の連絡があるかもしれないとは思っていた。
ただ、その日見た光景や春巻きの味は
たぶんどれも作り物っぽくて、
リアリティがなかった。

はじめからコロ助はチャレンジ受験だった。
でも、なぜか、
合格すると思ってた。

どれだけピンチであっても、
コロ助は大丈夫、と思っていた。

直前期に算数が絶望的になってしまった時は
さすがにダメだった時のことも想定しなければと思ったけど。

この2年間、不思議なくらい

無理かもしれない

とは、
何故か
思えなかったんだよな…。

短くて長い
私たちの旅は終わった。

とうとうコロ助は

受験校全て不合格という、

いちばんあってはならない結果になってしまった。

完全に親の責任だろう。

もう少し早くに灘学習院に入っていれば…
夏休みに私が家に居てやれたら…
あの日、もう少し頑張っていれば…
親の私にもう少し受験や勉強の経験があれば…
もう少し先を予想する目があれば…

あと一週間あれば…

とも思ったりもした。

…いや、

あと一週間先に入試日があったとしても

合格した子たちは、
今までと同じ努力を
あと一週間続けただけだろうから

結果は同じだろう。

試験には運もあることは知ってるけど、
コロ助に、神様は手を貸してくれた。
当日の出題運は本当に神様がいると思ったほど、
恵まれていた。

不運が全く無い中での

完敗だ。

きちんと先を見て
早くから準備をして、
私たち以上にがんばった親と子が、

合格した。

ただ、それだけだ。


この合格発表があってからしばらくは
字を書く気力もなくなってしまい、
(普通ににこにこするようにはしてたけど、文章は書けなかった)

応援してくれていた方への連絡や
SNSへの投稿なども、ほとんどできなかった。

今の季節、
SNSは合格の投稿で溢れる。

その一方で、
残念だった投稿は少ない。
全落ちともなれば、
その情報を見つけることはもっと難しいだろう。

不合格になった事実を
知られたくないから、とかではなく

そんな気力は、
本当に残らないどころか、
そんな物を開く気力もなくなるんやな

ってことがわかった。

不合格発表から1ヶ月も経たずして、家を買う。

コロ助が受けたショックは
大きかっただろう。

なんとか心のケアをと考えていた。

受験をした友だちの中で
全部残念だった子はそんなにいなかったので
受験組の子たちと遊ぶのはちょっと辛かったようだ。

が、子ども故の回復は早さなのか、
学校へ行って友だちと遊んでいくうちに
日毎に元気になっていくコロ助。

小学校の先生に、
「好きな子全員にふられたみたいな感じなんかな」
と、言っていたらしい…

強いよなコロ助は。

大人の方が引きずっててどないすんねん。


ただ、奈良へは当分行きたくない。
ということと、
ちょっと環境を変えたいという気持ちもあったのだろう、
以前からコロ助が「住んでみたい」と憧れていた
神戸の塩屋にふらっと行ってみたところ、

コロ助が気に入った家と出会い、
あれよあれよと、
その家を購入し、引っ越しする運びとなった。

まぁ、間取りも1Kでは
そろそろ限界やったしな。

塩屋は坂道の町。わが家も海抜60mほどの標高の地に立っていた(しかも階段で4階まで)
隣りにある滝の茶屋も近く、よく散歩しに行った。いい駅だよな〜

わが家からは海も見えるし、山も見えた。この山が見えるのも好きだった

中学受験で、合格をもらえなかった
みなさんへ

受験で使った
大量のプリントや参考書を片付けよう。

不合格という結果になったのだから
ブログをしようという計画もなくなったし、
潔く処分しよう。

参考書の類は古本屋に送り、
次の子たちに役立ててもらおう。

「随分たくさんのプリントを解いたんやな」
「とうとう、このチームも解散か〜」
片付けをしながら
私が言う。

その時、
「え?そうなん…?
  もうちょっとやりたいな」と

コロ助。


ああ、そうなんか、
そんなふうに思ってくれたのか…

(TдT)ううううう

もう、もう、

その言葉で全ての悔いが
昇華されていくようだった。

楽しかったよな。
母ちゃんも楽しかったよ。
やってよかったよな。

この結果になってしまったのに
なぜか今も、
心からそう思う。

コロ助は傷つき、
親にもトラウマが残っていないと言えば
うそになるけど


直前にコロ助を支えてくれたカワタ先生や
灘学習院のおかげも大きいのだろう。

今でもコロ助と受験期の話をする時は
本当に楽しかったことしか
思い出せないのです。

もし、今、この文章を読んでくれていて
試験が全部残念な結果になった子が
もし、いたら
伝えたい。

その頑張り、
絶対に無駄にはなりません。

がんばることを知ってる子は強いです。

そして、さらに
そのがんばりの対価としてもらえるはずの
ご褒美をもらえなかった悲しみを知ってるあなたは
もっと強いです。

最強なのかもしれません。

その心の痛みは、
いつか、誰かを思う優しさになるでしょう。

どうか、
今は、最後までがんばった自分を褒めてあげて、
気が済むまで、休めばいい。

ゆっくり休んだら
新しい世界が、
きっとまた見えてくる。

おそるべし、中受アドバンテージ

その後のコロ助はほとんど塾にも行くことなく
クラブ活動に専念し、
かなりのんびりと中学校生活を送ることができましたが、

全体的な偏差値では65~70くらいはずっと
保てているようでした。

中受学習の威力は、想像以上でした。

また、算数/数学に関しては、

小学校算数と中学校数学 → アイテムの使い方を学ぶ,慣れる

中受算数と高校数学 → 自分の頭で考えていく場面が多い

と、暗記&練習系の中学校数学に比べて
格段に思考が増える高校数学に置いて

中受算数がもたらすアドバンテージは

高校受験よりもむしろ大学受験において、
潜在的に大きな力を発揮するのでは…
と感じています。

まあ、そら、あんだけやったらそうなるわな…
という気もしますが。

たかもとんびも

「あ、来た!」

とんびが飛んでくる。

海の町へ越してすぐ
コロナの流行が本格的になり、
学校は初めから休校になっていた。

油揚げを
とんびにあげるため、
浜へよく行った。

コロ助が、
この町で一番最初の友だちになった
田仲豆腐店の田仲さんが作った
油揚げ。

とんびが攫っていくことはほとんどなく、
いつも結局、
自分たちがおやつに食べてた。

「とんびってすごいよな」
「とんびが鷹を生むって言葉があるけど、
たかもとんびもどっちもかっこいいよな」
コロ助が言った。

コロ助が小さかった頃、
とんびが鷹を生むって
私たちみたいな親子のことを言うんやろうなと
ぼんやり考えていた私は

コロ助のこの言葉に
勇気付けられる気がした。


ありがとな。

この借りはいつか返すわな。

次の旅は

すでに始まってるんやな。





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