東大寺の最後の仕上げは、すでに始まっている

2020年1月18日

コロ助が戦っているあいだ、
次の試験のためにできることをすべてやる。

ここは、奈良学園中学の食堂。
設けられた保護者待合室にいる。

今日は奈良学園の入試。
コロ助は、今、試験を受けている。

朝からのあらすじはこちらです→　奈良学園中学校の入試へ

会場に順番に貼り出されている
問題と解答の速報の確認はそこそこに
明日の準備に没頭する。

明日は、明後日の試験の前日。
前日に丸一日空きができるという
とてつもなくありがたい日。

一日のやるべきことを書き出し、
可視化してみた。

ギリギリのボーダーライン、
チャレンジ受験のわが家にとっては
この日をどう過ごすかに
勝敗がかかっているといっても過言ではない。

コロ助が答え合わせをやりきれていない
授業のうちに解ききれず持ち帰った図形NOTEの問題が
まだあったよな。

カワタ先生はそういえば
何でもわからないところは質問してくださいと
言ってくれてたっけな…

2020年1月18日(土) 12:32
ロジックス出版
カワタケイタ様

大変お世話になっております。

先日、ご指導いただきました
東大寺学園対策の図形問題集ですが、
その後、
少しずついろんなやり方を想像しながら取り組んでおります。

先生のサイトにヒントが載っていたので
わからないものはヒントを見て解いていますが、
解答をいただくことは可能でしょうか。

平日は、私が夜しか家にいないため、
Twitterで先生に答え合わせをしてもらうよう
彼に伝えたのですが、
やり方がよくわからなかったのか、
そのままにしているようです。

解答集などがありましたら、
最後に確認しておけるので、
大変ありがたいです。


ご多忙のところ申し訳ありませんが、
どうぞよろしくお願いいたします。

zettonkagon

追伸：
ただ今、奈良学園の試験を受けています。
おかげさまで、落ち着いて今日を迎えることができました。
先生にいただいたお守りを喜んで持って試験場に入って行きました。

カワタ先生は
すぐにお返事をくださった。
コロ助が解いた問題は、
写真で送っていただければすぐに見ます、
解答も本日中に急いで準備します、とのこと。
そして、明後日の東大寺の試験会場には
カワタ先生も
行く予定にしています、とのことだった。

先生の問題集を
コロ助は今日も試験場に持って入っているので、
帰宅後に写真を送ると連絡し、

東大寺の漢字対策のチェックリストを作ったり、
なんやかんやしてると、
すぐに試験終了の時間がきた。

コロ助の奈良学園の試験は
無事に終わった。

「おつかれさん」
「どやった？」
「うん、よかった。でもけっこう時間が足りんかった」
会場はけっこう暖かかったようで
ほっぺたが少し赤い。
温かいお茶はなくても大丈夫やったみたいでよかった。

「理科、失敗してん」
大きなミスに気付いて
パニックになってしまったようで
半分以上白紙になった…らしい。

そっか、そっか、
大好きな理科でショックだったろうな。
頑張ってきたんやな。

大丈夫、きっと他の教科がカバーしてくれてるよ。

さ、家に帰ろう。
次の準備はもう始まってるよな。

今日は灘の入試日だということと
カワタ先生が算数星人さんだったことをうっかり忘れていた

帰りの車中で
さっきカワタ先生に送ったメールの内容と、
家についたらやるべきことの確認をしていた。

その電車の中で
ハッと
気付いた。

今日は
関西統一の初日
ということは

灘の入試日…！

どこの塾よりも誰よりも早い
あの解答速報を
解き、
確かめ、
設問の作図をし、
数々の解説図を作図し、
レイアウトし、
コンテンツとして成立させ、
その日のうちに
配信する日
じゃなかっただろうか…

ここのところ必死過ぎる
毎日だったあまりに

カワタ先生が算数星人さんであることも、
今日が灘の入試日であることも頭から抜け落ちていた … 。

どうしよう…

申し訳なさすぎる…

カワタ先生のパーソナル授業はとっくに終わってるうえ、
よりによって解答速報の制作日に…

いや、それがなかったとしても
先生の元でずっと学んできた
6年生の生徒さんがいる中で
気の休まることのない一番大変な時期であるはずだろう。

「早さ」という、思いやり

帰宅した私は
コロ助の解いた解答の画像を
先生に送らせてもらった。

ロジックス出版
カワタケイタ先生

解答の件、
お手数をおかけしすみません。
ありがとうございます。
試験日当日のことも、
重ねて感謝いたします。

おかげさまで無事試験を終えることが出来ました。

今年も灘中の解答速報の早さに驚いています。
解くだけならまだしも、
図形も解説もをあの美しさで描き、
公開するということは、
神経のすり減る大変な制作であること、
お察しします。
そんな最中に恐縮です…

現時点で写真が見てもらえそうな状態の物を
お送りさせていただきます。
解答をメールのテキストでいただくだけでも構いませんし、
ツイッターの方がよろしければ、そちらからお送りしますので、
できるだけ先生の負担の少ない方法で
よろしくお願いいたします。

そのメールにもお返事をくださった。

簡潔で無駄のない文章には、

6年生を放置するのであれば
速報など辞めるべきです。

と、くくってあった。

あの速報をどれだけの人が待ち望んでいることだろう。

うぅぅ…

ダウンロードしながら涙が出てきた。　

そしてそのメールには
全ての解答と
解説を書き込んでくださったPDFの束が
添付されていた。

先生は
解説の書き込みとすべての解答を
送ってくれた。

この時、灘の解答速報は続々と
配信されていた最中だった。

先生の6年生を思う気持ちに感動する
（やるいわれもないことかもしれん）
と同時に、

どれだけ仕事が早い人なのだろう

という驚きが襲う。

「ゆっくり」が正義だったところのある私たちも、
桁違いの「早さ」を目の当たりに、
その行動が内包する大きな思いやりというものの存在に、
先生の仕事に対する誇りや信念を
見た気がした。



コロ助と私は相当な幸せ者なのだろうと思う。

いや、間違いないだろう。

カワタ先生、
ありがとうございます。

コロ助もこの一連のやり取りを見ていた。

この先、彼が大人になっても
ずっと覚えている出来事だろう。

何が何でもいい報告をしたいと思う。

さ、お風呂に入って今日は寝よう。

明日は朝から
いっしょにがんばろうな。

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