どうしてそんなに東大寺学園に行きたいんだろ
2019年12月23日
車内広告で見た灘中の算数過去問に、
学校の勉強って “楽しいこと” だったのか…!
と、衝撃を受け、
中学受験を始めたコロ助。
「なだ」というワードは
地域柄もあったのか
1年生の頃からよく耳にはしていた。
「なだ」しか知らなかったコロ助は
灘中を目ざした。
ところがある時、
灘と併願するのは東大寺学園というところが多い
という話を聞き、
東大寺学園の説明会に参加してみたところ、
電撃が走るかの如く、
その学校の虜になってしまったコロ助。
行きたい学校があったから受験を志望したのに
志望校を変えてもいいのかという思いもあったのだろう、
すぐにその話はしなかったが、
「あの学校楽しそうやったね」と、
コロ助の口から出てくるのは、
東大寺学園の話ばかり…
校風や学校内にいた子たちの雰囲気、
先生たちの話などに加え、
コロ助は歴史や仏像が好きで、
幼い頃からしょっちゅう東大寺に行っていたことも
相まったのだろう。
いつしか、
志望校は東大寺学園になっていた。
塾の先生が
「彼の東大寺熱は信仰に近いものがあります」
というほど東大寺学園に恋焦がれた。
コロ助の行く灘学習院という塾は、
先生が解答を解説するのではなく、
自力で難問を解き、考える力をつけるという独自の学習法をする塾で、
灘中の問題は5年生の頃からたくさん解いていた。
灘っぽいひらめき系の問題に慣れてきていたこともあったのか、
難しくてうんうん唸ることはあっても、
その過程も楽しめていた感じがあり、
それほど苦労することもなく、
親子で楽しく解けていたという記憶しか残っていない。
親の私は、
受験算数は未経験者でありながら、
灘の問題が苦手でなかった理由があったとするなら、
2Dのデザインという職業的な特性というか、
毎日図形を使って仕事をしているからなのかもしれない。
亡くなった私の父もまた同じ職業に従事していたため、
説明や表現に使う道具として「図」は日常の物だった。
グラフィックソフトを使っていると、
関数なども日常的に無意識に感覚として
(なので数式にしろと言われても無理やけど)
使っているのだろう。
灘はやはり右脳を極限まで使うのだと感じる。
次から次へと一緒に解いていくのが楽しかった。
それは、
受験を始めたきっかけとなった
あの車内広告をみてわくわくした時と変わることはなかった。
灘の難しさと東大寺の難しさは
全く違うようだ。(←といっても努力で灘を突破する子はもちろん東大寺もできる)
しかし、そんなことを言っても仕方がない。
コロ助の心は東大寺にしかないのだ。
親の視点から見ても、
やはりこの学校は、
頑張って準備と訓練を重ねるだけの価値があると思っていた。
そして、過去問を解いているうちに、
この学校の素晴らしさが
ますます強く感じるようになる。
一見難問の顔もしておらず、
シンプルに見える東大寺の問題が
「出来そうで出来なく」て、
…いや、それより感動したのは、
生徒の出来不出来を選別するだけの試験ではなかったことかもしれん。
「こんなことを学んでください」という、
解いた子を「育てる」入試問題の数々から、
この学校が、子どもたちのことをどう思っているのかが
伝わってくるかのようだ。
東大寺の算数の壁を前に苦しむ私たちに、
塾の先生がおしえてくれた。
「灘はひらめきの難易度は高いですが、
ひらめきさえすればあとは意外とシンプルです。
なので、灘が解けても東大寺が解けないという現象は
大いに有り得ることでしょう」
たしかに灘の問題は、
はじめの引き出し開けはクソ難しいけど、
こつこつ丁寧に条件を積み上げなければいけないことはそんなになく、
複雑な計算もほとんどない。
(理科はけっこう積み上げもあるし条件整理も過酷やけどな)
で、何より問題文が短いのもありがたかった…
大人の私にとっても、
東大寺の長い設問を読んで条件整理することに苦戦し、
一緒に解いても足手まといになってる。
こんな短時間で
そう簡単に脳みそ(2個分)のシステムを
「ロジカルに変えろ」って無理やろ。
じゃあどうするよ。
もう、右脳とか左脳とか言ってる場合でもないやろ。
最後の手段は、
まさか、
算数を捨てる…
そんなことまでして行きたいのか?
そんなやり方で仮に合格できても
授業についていけるのか?
あぁ、そんなことが一瞬でも頭をよぎったと知ったら、
灘学習院の先生は悲しむだろうな。
親失格だよな。
せっかく算数が好きになって受験をはじめたのに、
思考する楽しさも知ったのに、
難しい図形だって、
あんなややこしい計算だって好きになったのに。
いや、まだできることはきっとある。
「過去の合格者には算数18点で通った子もいます」
ああ、本郷教頭先生の声が、
頭の中でリフレインしてるよ。
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