灘学習院という変わった塾 〈その1〉

灘学習院という変わった塾  〈その1〉

2021年6月20日

体験入塾や見学はない

コロ助がお世話になった灘学習院は、
ちょっと変わった塾。

思考教育をするための塾です、と謳われているとおり、
「いついつまでにここ合格する学力を…」
といったニーズには全く適さない。
そして、詰め込み型教育にありがちな
「勉強が嫌いになる」ようなことは、
まず、なさそうです。

で、体験入塾や見学の類はない。
思考の授業では、
みんながしーんと考えを張り詰めて集中しているらしく、
見学などがあると
子どもたちの気が散ってはあかんからという理由(塾側が言ってた)と、
一回や二回経験しただけでは、
思考学習の良さをわかってもらうことは難しいという理由のよう。

たしかに、短期間で判る種類の良さじゃないから、
見学や体験の意味がないんかもしれんな…

とはいっても、入塾金だって要るわけやし、
合格実績も発表してないこともあって、
ちょっと勇気がいると思う。

志望校に受かるのか受からんのか?
って聞きたい人もいると思う。
(まぁ、その発想自体が灘学の考えとちゃうんやけどな…)

ただ、入塾前の説明会はある。
子どもが入塾テストを受けている間、
親が授業の展開の仕方を体験できる。

私が参加した説明会では、
塾長の江藤先生が授業の進め方を
順を追ってやってくれ、
自分が授業を受けているような気分になってドキドキした。
いや〜、本当にうそみたいにわくわくした。
勉強ってこんなにわくわくするもんやったんかと、
その説明会に参加しただけで
自分が入塾したくなったくらい楽しくて、
コロ助がうらやましくなりました。

ただ、あくまで自分がそう感じただけなので、
子どもにもその同じわくわくが感じられるかはわかりません…
でも、
合格するせんはおいといて、
コロ助のためになるんやろうなということがすぐにわかった。


というわけで、
ちょっと変な塾、灘学習院に通ってみた感想を書いておこうと思います。

あくまで個人的に抱いた感想であることを了承いただけると幸いです。


答え合わせも解法の説明も、なし

授業は、週に3回、
5年生は
【月曜】 国語 算数
【火曜】 読解 理科
【金曜】 思考
という時間割。


算数の思考の授業は
究極のアウトプット重視型学習とも言えるのかもしれない。
はじめに、先生が簡単にルールや公式などをみんなにさらっと伝える。
で、そのルールを元に、
厳選された難問をひたすら自力で解く。
みんなでディスカッションをすることもあるようやけど、
しーんと張り詰めた空気の中みんな集中して考え続ける。
先生はみんなの様子を見て回り、
正解の答えを書いている子のプリントには丸をしていく。
そっと、ヒントをくれたりもする。
そのヒントの出し方が、灘学の先生の特徴のようで、
子どもたちを集中させるノウハウがあるんやろうな。

で、ここから先がより特徴的で、
答え合わせをしない。もちろん解法の解説もない。
そして、それは後日にというわけでもなく、
永遠にない。

合っていたら丸をもらえるので解るけど、
1時間考えつづけても解らなかったことは、
ずっと解らないままだ。
子どもにとって、その忍耐は苦しいだろう。
実際、一年くらいなかなかしんどい子もいるみたい。

解らないまま終わってしまった類似問題が次に出てきても、
その状態は解決しないまま、
自分で何日も考え続けることになる。
考え続けずに忘れてしまってもいいそうだ。(←塾の先生はこう言ったがここは家庭での工夫がいるかと思う)

ブレイクスルー。あの快感を味あわせてやりたかった

私がこの塾に惹かれたのは、
説明会の時に受けた江藤先生の模擬授業が楽しかったことだけではなかった。

江藤先生の口から出た「ブレイクスルー」という言葉に、
30年ほど前に受験した、大検に向けた受験勉強の記憶が
鮮烈な体験としていまだに心に残っている事実を思い出したことだ。


中卒(ほぼ小卒)の私は、
算数の分数も知らないまま大人になってしまっていた。
将来の夢ができたことがあって、
心配した友人が大検のことを調べ、
受験するようアドバイスをくれた。
30年ほど前はインターネットなども普及しておらず、
いろんなことを知らない間に調べてくれていた友人の優しさに申し訳なくなり、
大検を受験し、必ず合格しようと決めてひとり勉強を始めた。

分数も知らない私が、高校数学に出てくる公式など知るはずもなく、
勉強期間は一ヶ月半。
夜勤の仕事をしながらの受験勉強は多難を極めた。
とりあえず買ってきた大検の過去問集を首っ引き、
とにかく考えてみようと、
公式などを何も知らない状態から解こうと挑んでいた。
1問解くのに3日位かかったものもある。
真夏の暑い日々。
全力で考えたため、問題集も解答用紙も、
汗がぼとぼと流れ落ち、
ページは波々になっていた。
暗記すべき事項は紙に書きすべて壁に貼り付け、
勉強時間以外の時間にまわしていたので、
机に向かって勉強した時間はほとんど、
考えることに集中できたのだと思う。

そうして、「ひとり灘学習院」ともいうべき
“考えて考えて考え抜く”を、続けていくうちに、
カチャカチャとパーツのようなものが組み上がるとでも言うのだろうか、
目の前が明るくなるような、
考えるコツのようなものが急に開けてきた時があった。


自力で答えにたどり着いた時の喜び。
答え合わせをしてから知った公式を知るたびに、
こんな便利なものを誰が考え出したんだと感動し、
それが着火剤になりどんどん思考は加速した。
そしてその連鎖は、他の教科にも波及した。

さすがに勉強時間を一切取ることができなかった科目(英語と世界史)は落ちたが、
11教科中、9教科合格することができ、
残りの2教科は次の年にゆっくり取りなおした。

あの、視界が急に開けたような、あれ。
間違いなくあれがブレイクスルーやろう。

あれ以前とあれ以降の自分の思考回路はきっとかなり違う。

それまでは、深く物事を考える習慣がないというのか、
薄ぼんやりした曇ったメガネをかけて物を見ている感じやった。
でも、自分でそのことには気付いておらず、
メガネの曇りが取れたことによって、
今までの曇りに気がついた、って感じだろう。

あの出来事がなければ、また違う人生を歩んでたかもしれないと思う。

おまけに、そうして身についた問題を解く時の喜びは
今までに体験したどの喜びとも違ってて、
試験中も楽しくて、声を殺すのに苦労したほどだ。

そんな喜びを、コロ助にも
体験をさせてやることができるのか。



灘学習院という変わった塾 〈その2〉につづく





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